21歳の女子大生は、彼氏ではなく擁護者がほしかった

ただ、おじさんが最悪で、バルスして7回滅びても足りないくらいにクズだったのは、
コンドームをしないこと。

はじめのころ、何度かつけてほしいと頼んだことはあったが
ゴム使ったら痛いとわめく私を理由にやめてしまった。
そして、「外に出せば大丈夫」という今考えるとクソ死ねな論理でナマでしていた。
書いているだけで吐き気がする。
ありえない。ゼリー使えばいいだけだろう。クズ。
滅しろ。ハゲ散らかして内臓をえぐられて蛆虫に食われて苦しんで何度でも死ね。
 
ふぅ。しかし当時のわたしはそんなことを言えるほど健康ではなかった。
むしろそのおじさんとのセックスが生きがい、というくらい病んでいた。
 
学校が終わったらいそいそとおじさんの職場へ行き、一緒にご飯を食べて
あるときはラブホで、あるときはおじさんの家に泊まってヤリまくっていた。
 
さらにおじさんの最悪列伝は続く。おじさんは離婚はしていたが、娘がいた。
娘のいる家に20歳そこそこの若い女を泊めるのか。
まじでクズだな。それについていくわたしもな。
 
ほんとうに、クズをクズともいえないくらい、
クズだとわかっていてもクズにすがるほど、わたしはどん底だった
 
10年前に死んだ父親の死因が自殺だと18歳のときに知ってから、
なんとかその苦しみを解消しようともがいていたけど救いはなかった。
ずっと死にたいと思いながら、うつ病にもなれず、
人並みの大学生活はこなしてしまい、表面上はエリート大学のフツウの大学生だった。
 
おじさんと付き合う前に告白してくれた先輩のほかに、そのあとも何人か告白してくれたけど、だれも信じられないと思っていた。
そのときのわたしの頭の容量は、父の自殺と中学生のときからいる母の彼氏と
それをうまく処理できない自分でうめられていたから。
多少の表面上楽しい会話はできても、ちかしい関係になったら、そのことをしゃべりたかったし、そのことをきいてほしかった。
 
同年代の男の子たちに家の話をして、それをジャッジされずに聞いてもらったことなどなかったから、彼らにこんなこと受け止められるはずもないと思っていた。
こころのうちをさらけだして傷つくくらいなら最初から言いたくもない。
そんな感じだったのでフツーのお付き合いとかどう考えても無理。
 
っていうところにおじさんは、人生経験の豊富さかもしれないし、彼の性格もあって、わたしがはじめて重苦しい家の事情を話すことができた人だった。
そして、いままで家族の話をすると、女手ひとつで育てた母をほめるひとばかりでだれにも理解されないと絶望していたわたしにとって、そのおじさんは、初めてできた味方だった。

あなたは悪くない、いくらほかの人が母の肩を持っても、お母さんがしていることはおかしい、とそう明言してくれたことで、わたしは、本当に、ほんとうに救われた。
 
唯一の味方が得られるなら、それが20歳も上のおじさんだろうが、
娘がいようが、コンドームをつけないクズだろうが、わたしはそれがほしい
だって、ほかにすがるものがない。