唯一の味方が得られるなら、自分を傷つけることもいとわない

そうして、クズなことは承知のうえで、おじさんとのセックスにのめりこんでいた。
 
悪行の限りというか、悪徳の栄えというか、おっさんが考えそうなこと、世の中のポルノにあふれていることの大半はたぶんそこそこ経験した。
その当時は私自身がその行為を楽しんでいると思っていたけど、今考えるとけっこうに自己破壊的だった。
わたしの尊厳を無視した性行為で、自殺願望を代償しているような。
モノとして扱われる疑似体験をしていた。
うん。そのときはそれでたのしかったです。いまはもうしたいと思わない。
健康になったものだ。しみじみ。
 
かろうじての救いは、精神的な虐待やDVというようなことはまったくなく、行為の外には愛情があった。だからわたしは壊れなかった。
 
しかしですよ、毎回ナマでやってりゃ妊娠もするだろうさ。
ええまあありていに妊娠しますわ。
 
22歳の夏でした。母がわたしを産んだのも22歳でした。
 
因果なことに学校でその筋の勉強をしていたので、生理周期とそのメカニズム、体温の変化、妊娠しやすい時期すべて知っておりました。
体温も測っていたから排卵日だってばっちり知ってる。
なのに来ないなんてもう考えられるのはひとつしかない。
どこをどう切っても妊娠しておかしくない。

それだけの知識があってなお、正しく避妊をできない、言えないというところが異常の異常たるゆえんなのです。
知識があっても、その要求を通したら、唯一の味方を失うかもしれないと、それがこわくて、避妊をしないならセックスはしないとは言えなかったのです。

ああもう泣ける。
知識があることと行動できることは本当に別なのです。